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最高裁判所第二小法廷 昭和49年(オ)926号 判決

主文

理由

上告代理人田中清一の上告理由第一及び同普森友吉の上告理由一の(二)について

論旨は、原判決主文の不特定をいうが、原判決主文と引用の図面及び判決理由とを対照すれば、原判決において上告人に対し本件土地のうち、上告人の立入り、立木の伐採、搬出を禁止し、かつ、被上告人による立木の肥培管理、伐採、搬出を妨害してはならないと命じた土地の範囲を特定することができないものでもないから、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

上告代理人田中清一の上告理由第二について

原審の適法に確定したところによると、山本源次は昭和三〇年二月二四日をもつて取得時効により本件土地及び同地上の立木の所有権を取得し、これを占有していたが、昭和三三年三月九日同人の死亡とともに被上告人らが相続により右所有権を取得し、他方、上告人は昭和二五年一〇月二日相続により本件土地のうち原判決別紙見取図青斜線部分の所有権を取得し、前記時効完成後に本件土地の右部分を中川豊一に売却し、その後同売買契約を合意解除したというのであり、右事実関係のもとにおいては、上告人は、山本源次ないしはその相続人である被上告人らとの関係では前記売買契約の解除後も依然として時効取得による所有権得喪の当事者たる地位にあつたものというべきであるから、被上告人らは右時効による所有権取得をその登記なくして上告人に対抗できるものというべきである。したがつて、右と同旨の原判決は正当であつて、論旨は採用することができない。

同第三及び上告代理人普森友吉のその余の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 岡原昌男 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲)

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